たとえば「砂の惑星」では、集団自殺事件を起こした小学生と、森で暮らすホームレスたちの姿を対比させて描く。森に現れる老人の一人芝居を通して、かつてドミニカ共和国で行方をくらませた男の消息が、寓話的に語られる。また「ファンタジスタ」では、スポーツを介した仲間同士の交流を軸にしながら、元プロ選手が立候補した首相公選をめぐる物語を展開。フットボールと政治という、一見関連性のないものを見事に織りまぜてみせる。肉体の消滅と再生をテーマにした「ハイウェイ・スター」も含め、平凡な主人公に導かれ読み進めるうちに、読者はいつの間にか別世界へと引き込まれていく。
移民問題、政治といった近寄りがたいテーマを組み込んでいながら、押しつけがましくならないのは、物語を継いでいくなめらかな筆致のおかげである。また各作品に、南米地域やフットボールという、星野の読者にはお馴染みの素材が散りばめられているのも特徴だ。これらが独立したそれぞれの小説に共通点を与え、本書独自の世界を盛り上げている。(砂塚洋美) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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