ファンタジア:これまでに存在しないものすべて。実現不可能でもいい。
発明:これまでに存在しないものすべて。ただし、きわめて実用的で美的問題は含まない。
創造力:これまでに存在しないものすべて。ただし、本質的且つ世界共通の方法で実現可能なもの。
想像力:ファンタジア、発明、創造力は考えるもの。想像力は視るもの。
この冒頭の定義はとても的確に思える。「ファンタジア」「発明」「創造力」の微妙な差異もわかるし、「想像力」だけが、ちょっと位相の異なる概念であることもわかる。
どうなんだろ、この中で今の世の中に欠けてるのは「ファンタジア」と「想像力」だろうか。“実現不可能でもいい”って度量が今の世の中には無いし、人様の考えたものを、広く、深く“視る”余裕ってのも無い。
“子供は壮大なファンタジアの持ち主である”ってのを否定するくだりで著者の言説に信頼感を持つ。そう、子供が考えなしに口にする突飛な言葉の数々は、ファンタジアなんかじゃなく、“自分の知っている世界の投影”だ。いい大人が、無知や無垢を、ファンタジアだアートだと言い繕うことを周りは看破しなきゃダメ。スピリチュアルとかもな。「想像力」を深めることが「ファンタジア」を生むっていう循環。
本書ではファンタジアを「対比」「反復」「類似」「交換」「融合」といった技法に分類していて、それはそれで納得なんだけど、あくまでこれはファンタジアの分析であって、思考の整理にはなっても、分析がファンタジアを直接生み出すわけではない。そう、まさに基礎知識っつーか教科書だよね。読んだからって、そこにファンタジアが降臨するかどうかは、また別の話であって。
結論。この本、「ファンタジア」を生み出せるかどうかは保証できないけど(そんな本あるはずがない)、「想像力」、つまり“視るチカラ”を鍛えるのには確実に役立つ。シンプルで的確な「想像力」の教科書だ。