たいへんエキサイティングな本である。
本職の経営学者(もちろん野球ファンでもある)が「経営」の視点で記述したプロ野球史であり、これまで書かれたことのない視点でプロ野球が分析されている。面白いったらない。
試合をするのは選手であり勝利への采配をふるうのは監督であるが、そのための戦力を整えるのは編成部の力量である。そして戦力の調達のための資金を獲得するためには、宣伝・営業等のビジネス部門が頑張らなければならない。
考えてみれば当たり前のことであるが、そのような「経営体としての力量」がチームの成績を決定するようになってきたとということが、本書におけるプロ野球の歴史分析を読むと良く分かる。近年の北海道日本ハムファイターズの強さ、それに先立つ福岡ソフトバンクホークスの台頭などは「経営の総合力」によるものと分析され、極めて説得力がある。
逆に、90年代にタイガースが低迷したのは「過少投資による」と明晰に分析されている。このような外部からの指摘もあって、阪神グループは「タイガースのブランド価値を意識し」近年投資を行うようになったことが「猛虎復活」の大きな要因である。
編成や営業も含めた球団経営の近代化に大きく貢献したのが根本睦夫氏であった。そのプロセスが詳しく語られており、示唆に富む。選手としても監督としてもさしたる成績を上げていない根本氏が野球殿堂入りしたことは、球界でもその功績が広く共有されているためだという。
人口減少時代を迎えた日本社会では、様々なシステムが変革を迫られている。プロ野球もその例外ではない。プロ野球の「これから」を考えるときの、必読書のひとつと言えるだろう。