ACDCといえば、もはやロックの最後の良識とでもいえる孤高の存在である。普遍の、そして究極の音楽性が、いつの世でもロックの本質的魅力を我々に思い起こさせてくれる。ストーンズやザ・フーが認め、若い世代の多くのバンドがリスペクトするには、それだけの理由があるのだ。
しかし、このバンド、現役宣言ともいえる新作スタジオアルバムと、ここ数年のライブビデオを除くと、アンソロジー的な作品はほとんどない。(例外は初代ヴォーカリストのボン・スコットに捧げられたCDボックスのみ)。映像版などは、長い歴史に不釣合いなくらい、全く発表されなかった。
が、遂に、最高かつ最良の形で満を持した作品が発表される。ライブ映像だけでなく様々な目的に記録された映像素材が厳選され収録されている。映像で彼らの栄光の活動史を振り返る事が出来る素晴らしい作品だ。
ファンにとっては、ボン・スコットの勇姿(彼の姿は過去に79年のパリ公演のライヴビデオが出されたが未DVD化。音源のみ前述のCDボックスに収録)が興奮と感激を誘うだろう。
また、70年代から現在まで、それぞれの時代の中で、常に現役であり続けた彼らの矜持というものもシッカリ体感できると思う。いやあ、本当に凄いバンドだ、彼らは。
唯一心配なのは、こうした懐古作品を出す事が引退に繋がらないか、ということ。彼らにはまだまだ頑張ってほしい。本作が新たなファン獲得のキッカケにもなるだろうから。