あまり大きな声では言えないが、今、最も発売日が待ち遠しい映画雑誌(笑)「映画秘宝」を、いつも後ろから読み始めるコアな者にとって、ウエイン&ガースコンビによる“FBB”は、いつも楽しく読ませてもらっていた。今回で一応連載が終了し、それに併せて3冊目となる単行本もこれにて打ち止めとなるのは、ちょっと淋しい。でも、10年も続いたんだよね、本当に押しも押されぬ人気シリーズだったんだ。ジャンク映画、B、C級映画への過剰な愛、映画オタクとしての博覧強記ぶり、ハリウッドの超大作や世評高い良心作も、自らの尺度で、カスなものはカスと斬り捨てる潔さ。「宝島」の名編集者として80年代サブ・カルチャーをひっぱり、現在はアメリカ在住で現代社会風俗史に詳しいウエイン・町山智浩と、翻訳家にして気鋭の映画研究者ガース・柳下毅一郎。今作も、その絶妙のコンビネーションからくる破壊的なツッコミの応酬の中繰りひろげられる、どうにも無責任極まりないその裏目読みに爆笑したり、洒落のキツさに思わず引いてしまったり、与太話の合間に瞬時顔を覗かせるインテリジェンスな洞察力の鋭さにムムッと唸ってしまったり、と存分に楽しませてくれる。個人的には、これまた伝説の「写真時代」(笑)に連載されていた平岡正明&上杉清文の「天覧思想大相撲」に続く過激な放談集と評価したいのだが、最後の最後に語られる“映画界”の現状をいつになく真面目に語る2人の会話は、映画ファンとしての切実さとホンネが窺えて、同感の思いと共に、胸が熱くなる。