なかでも驚かされるのは、アメリカの精肉加工現場の衛生観念と、ずさんな労働管理の実態だ。生産されるひき肉の47パーセントがサルモネラ菌を含んでいることが判明した工場、就業中の事故による椎間板損傷を「軽いケガ」ですまそうとする会社側。「サルモネラ菌は自然の生物であって、混和物ではない」という会社の主張が連邦裁判所で認められ、工場の閉鎖が1日で解除されるという事実からは、先進国とはほど遠い業界像とアメリカ政府の認識の甘さが浮かび上がる。
ファーストフードはおろか、牛肉を口にすることさえためらわれるような生々しい事実の数々。対岸の火事とは思いながらも、お昼に食べるハンバーガーの中身を勘繰りたくなる。(望月真弓)
この本は読み進めるほど過激な内容になっていく。圧巻は、自ら食肉処理工場を訪ねて見た牛の解体現場のシーンだ。作業員が牛の腹に腕を突っ込んで素手で腎臓をもぎ取るなど、過酷な作業の実態が描かれている。また、ここで処理された肉の安全性に問題があると厳しく非難している。すべて事実かうかがい知ることはできないが、普段食べているファストフードへの認識を改めさせられるのは確かだ。
(日経ビジネス 2001/09/10 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
登録情報
|
訳者は“訳者あとがき”で「これは義憤の書である。」と書かれていますが、小生は極めて事実を明確かつ詳細に報告することで読者に対し、知的に選択肢を与えているスタイルに好感を持ちました。同時に、それぞれの食の現場で何が起こっているのかを決してセンセーショナルには書かず、どういうビジネス上の、あるいは、行政上の理由があって、そのようなことが敢行されているのかなどを克明にルポしています。
前半のマクドナルド社とディズニー社との関係に関する部分はブランド・マーケティングの良き参考書とみなされるべきであろう。
「ファストフード」という身近で、お金がかからない庶民の見方という“ブランド”は、いかにして生産者から消費者まで一貫して搾取しながら株主に奉公している経営者が大きなマージンを全世界的に稼いでいるかを明確に記した良書です。
「バリュー」や「リーズナブル」を好む消費者は、下層労働者を苦しめているだけではなく、自分達の食をも犠牲にしていることを肝に命じておくべきだと考えます。
ファストフード業界、および関係する様々な産業からの広告収入に頼っているようなメディアでは読めない内容だからこそ手に取るべき本でもあります。
本書で著者が告発しているのは犠牲の悲惨さと効率追求の非人間性だ.そして著者は,告発と同時に処方箋となるビジョンも明示している.犠牲をストップさせるには,我々がフ!!ァストフードを「ただ買うのをやめればいいのだ」(p376).なぜなら業界の「お偉方たちは,なにも悪い人間ではな」く「彼らはビジネスマン」(同)なのだから,我々消費者が要求すれば,彼ら企業は安全な食品を提供してくれる.その方が利益が出るからだ.
私は,様様な犠牲を産み出してきた巨大産業の当事者が「悪い人間」ではない,という点に,現代社会の恐ろしさを感じる.彼らは単に効率と利益を追い求めているだけなのだ.ビジネスにおいて,利益は顧客のニーズに応えることによって生まれる.だとすれば,ファストフード産業が生んだ「犠牲」は,我々自身の欲望が引き起こした帰結とは言えないだろうか?
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|