この本の原著”Finacial Modeling"は、ファイナンスの"cook book"を自称し、学部上級、MBA課程でのトピックの大部分をカバーしている名著です。特に添付CD-ROMのEXCELファイルは講義での「実習」や「宿題」のネタ元で、実際、EXCELで数字やグラフを動かしてみなければこの本を読む(使う)価値はありません。ファイナンスの標準的な理論に基づいて数値計算用ワークシート作成には大変重宝するでしょう。
本書の終盤はexcelのtipsとVBAの簡単なプログラミングでファイナンスとは直接は無関係です。とはいえ、地道にこなせば(ほとんどの人ができない)excelでの行列計算が自由にできるようになるなど、excelリテラシーが大幅に向上します。まじめにFinacial Modeling構築能力取得に取組む方はパートVから読むことをお勧めします。
また難易度から言うと本書は「平易」な部類に属するはずですが、大抵のMBAやマネジメント職層にとって、この本を完全に「こなす」ことのはかなり「大変」だと思います。しかし、現実には、この本のレベルからいわゆるクオンツの"computational finance"「上級書」レベルにはかなりのjumpがあり、このギャップを上手く埋めてくれる専門書(特に日本語)はあまりありませんので、この本で得られる専門知識は「最高の」ものであると言え、その意味で取組む価値はあります。