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ビジネス・パーソンに向けて書かれた物語かもしれないが、軽快なタッチで書かれているため、文系・理系関係なく、高校生や大学生でも十分理解できると思う。ものを作るという現場に入ったことがあれば、なおさら理解は進むだろう。就職活動にも役に立つところもあるだろうし、新入社員が「仕事」というものの全体の流れを理解するときにも役に立つところもあるだろう。さらには、「ものづくりの楽しさ」というものをも感じることができるだろうし、ものづくりで世界でのプレゼンスを高めてきた日本の強さの一端を垣間見ることもできるだろう。多くの日本人に読んでもらいたい一冊である。
しかし、「カンバン方式」や「カイゼン」で世界に冠たるトヨタ生産システムを実践してきたベテランのトヨタマンOBが、トレーナーとして企業の現場に出向き、現場作業の中で、現場カイゼンのリーダーとなる人材を育成しながらトヨタウエイを植えつけて工場を蘇らせる――セミナー主体の座学ではなく、現地現物主義・実践の場で、オン・ザ・ジョブ・トレイニング(OJT)で、トヨタ生産システムを伝授する方式を、架空の菓子会社のダメ工場をモデルに、ドキュメンタリータッチで、カイゼンへの顛末を小説風に解説したのがこの本。
「モノづくりは人づくり」、現場の意識革命から、現場のヒト・モノ・組織を根本的に変革するのであるから、企業にとって全社巻き込んでの大変な挑戦であるが、モノづくりの喜びと感動を追及するトレイナーの姿が、印象的である。
この場合重要なのは、経営トップの不退転の決意と危機意識・積極的な参画。キヤノン御手洗社長は、目標設定から実行まではトップダウン・トップの仕事だとして積極的に現場を回る。理論とその実践、現在、自動車や電気機器等のエクセレント・カンパニーのトップに米欧現法社長等の経験者が多いのは偶然ではなく、熾烈な米欧の経営を経験し試練に耐え、会得した経営哲学と理論を果敢に実践しているからかも知れない。
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