初めて見たときは、後味が悪かった。
素手での殴り合いそのものもそうだし、後になっての反社会的な活動も、要は暴力が重要なファクターになっているところに目がいってしまって、しかもその刺激は、その時の自分にとってあまり心地いいものではなかったので。
都会の汚れた雰囲気も、その中で自由を謳歌する主人公たちの生活ぶりも、あまり好ましいものとは思えなかった。
そういうのがクールだとも思えなかったし。
何より、やってるのはケンカだったり、犯罪行為だったりするわけで、言葉の本当の意味で、真面目な人たちも、優しい人たちも、十分にたくさんいる世の中で、敢えて破壊に意味を見出そうとするのが何故か、よくわからなかったのだ。
それが何年かたって見たら、違った。
前に見たときには見えなかったメッセージが、やたらクリアに伝わってきてくるような気がした。
僕が感じたメッセージというのは、一言で言うと「欲望を恐れるな」ということだった。
もっと言うと、欲望が達せられないことを恐れるくらいなら、全部捨ててしまえ!ということだ。
つまりそれはこういうこと。
この、やたらといろんな種類のものに溢れている世界で、しかも、それらの必要性と手に入りやすさが全然一致してるわけでもない状況の中で、自分の本当に欲しいものが何かわからなくなっている人が、実は多いんじゃないかと思う。
というか、わからなくなってること自体、気付いていないというか・・・。
ふと気付くと、自分が手に入れたものは、実は本当に欲しかったというよりは、それが手に入らなかったときの喪失感がたまらなく不安なので、それを消すために手に入れただけだ・・・、そんなふうに感じたことは、ないだろうか。
そんな不安の中で生きているのなら、いっそ、すべて捨ててしまえ。壊してしまえ。
そうしたら、アンタはアンタ自身それだけで十分素晴らしくて価値もあることに、きっと気付くから。
そんなようなことをこの映画は、言ってるような気がしたんです。
それに気付いてから、この映画に対する見方はほぼ180°変わりました。
今では、この複雑に発達し、かつ堕落した世界のある種の本質を、唯一無二の際どいやり方でえぐって見せた、稀有な作品ではないかと思っています。