数学者として知られているピュタゴラスは、数を万物の原理と考えた思想家でもありました。タイトルのある「音楽」は音程が弦の長さに比例することを「発見」したことにちなんでいます。
ピュタゴラスの生きた紀元前6世紀から現代まで、西欧の思想・科学にピュタゴラスが及ぼした影響を丁寧に追っています。たとえばプラトンは「テイマイオス」ほかでピュタゴラス派をさかんに登場させていますし、そのためかB.ラッセルにいたっては、プラトンの思想そのものがピュタゴラスの焼き直しだとこき下ろしているそうです。ヨハネス・ケプラーは太陽と惑星の配列を正多面体の入れ子パターンに何とか押し込めようとしましたが、これもピュタゴラスの陰なる影響とか。最後にはホーキングまで登場して、歴史絵巻のような全巻を閉じます。章ごとに内容のばらつきがありますが、読後感の大きい書物です。