もうやり放題。
あっちこっちに花が咲きまくり、もう何がなんだかわからないくらい画面が飛び、あっけに取られるようなカット割。怖ろしく繊細な音声。等々…。
映画世界は作家主義はほぼ終焉し、ジャンル分けされた映画作品は娯楽産業としての完成度を高めていくばかりとなった(ように思う)現代でも、こんな個性的な映画が存在している。巨大な制作費やCGと無関係なところでこんな驚異の映像がある。どこまでも自由でアバンギャルドな映画だ。(この後もっと自由な狸映画を撮ったのには驚きましたが…)
かつて‘清順美学’なるものは(特に絵的なものは)一般娯楽映画のなかでスパイス的に挟まれるものだった。(主に日活時代)
ところがもう、この映画ときたら
『普通じゃ面白くありませんからね。』
と、どこもかしこも…全部のカットが‘清順美学’。 ファンとしては、『アア、きもちイイ』と映画に身を委ねればいいワケです。
…でも、一般の観客や初めて清順映画を観た人は面食らうだろうなぁ。
このDVDに収録されているメイキングで監督は言っていました。
『(この映画ができたのは)時の流れだなァ。』と。 …本当に面食らっているのは監督本人じゃないだろうか。
なぜなら、
日活時代「おかしな演出(いわゆる‘清順美学’)をするな!」と散々言われ遂には解雇されたのに、今やスタッフもファンも皆がソレを待ち望んでいるのだから。
そしてその解雇された直接の原因といわれる『殺しの烙印』の続編(姉妹編といったほうが正しいか)を創ることになったのだから。
まさに、時の流れだなぁ。
豪華絢爛‘清順美学’狂い咲きといった感じのこの映画、日活時代や浪漫三部作を愛するファンにはイマイチかもしれない。
(フツウの映画を観ている人にもイマイチだろう)
だが清順は果てしなくいい加減で頑固で自由なことがよくわかる。花咲か爺さんのアバンギャルドさ。
熱狂的に推薦します。