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ピコラエヴィッチ紙幣―日本人が発行したルーブル札の謎
 
 

ピコラエヴィッチ紙幣―日本人が発行したルーブル札の謎 [単行本]

熊谷 敬太郎
5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

島田商会が極東ロシアの小都市で発行していた紙幣「ピコラエヴィッチ」は人々から歓迎され、ロシア人社会に深く浸透していた。しかし、永遠にも続くように思われたそのシステムは、当地の鮭鱒漁の不漁と共産革命の嵐によって大きな悲劇へと発展する。「通貨とは何か?」「経済とは何か?」を問う問題作。

内容(「BOOK」データベースより)

一九一九年秋、印刷工の黒川収蔵は紙幣印刷のため極東ロシア領の小都市尼港(ニコラエフスク・ナ・アムーレ)にある島田商会に派遣される。当地最大の日本企業・島田商会の発行する紙幣「ピコラエヴィッチ」は、下落の激しいルーブル札を補完し、町の産業を支える紙幣として当地の人々の生活に深く根付いていた。新紙幣の印刷は、美しいロシア娘オリガの協力で進められ、いつしか二人には恋愛感情が芽生えていった。ようやく紙幣の印刷が完成に近づいた頃、町には四〇〇〇人を超える赤軍過激派が押し寄せる。ロシア人有力者たちは次々に処刑され、やがてその魔手は日本人にも向けられる。外界からの援軍を得られない厳寒の尼港で、およそ七五〇人の日本軍民は悲壮な覚悟で徹底抗戦を試みる。果たして黒川とオリガの運命は?第2回城山三郎経済小説大賞受賞作。「通貨とは何か?」「経済とは何か?」を問う問題作。

登録情報

  • 単行本: 334ページ
  • 出版社: ダイヤモンド社 (2009/10/2)
  • ISBN-10: 4478011273
  • ISBN-13: 978-4478011270
  • 発売日: 2009/10/2
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.6  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
貨幣とは、財とは、富とは、発展とは、何か、を考えさせられる一冊でした。
「貨幣」はつまるところ、経済を生活を掌握する代名詞であり、象徴的な存在でもあります。必要とされるシステムであるがゆえにモンスターのように作り手の手を離れ、浸透しては成功と挫折をもたらすもの。物理的な貨幣の流通の裏には、人間の感情が折り重なって人々の生活に深く関わってくる。貨幣構造といういわば経済の根幹について、合理的・実用的というだけでは解決できない、人々のアイデンティティという問題が大きく関わっていることを改めて感じた一冊でした。

一般的な経済小説というよりも社会・経済の本質を問うような、珍しい切り口の一冊です。
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By sasabon #1殿堂 トップ10レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
「日本人が発行したルーブル札の謎」という副題と、第2回城山三郎経済小説大賞受賞作ということで、経済史をベースにした小説だと思ったのですが、その色合いよりも知られざる戦争史実を扱った歴史小説といった趣が強く感じられました。

巻末に書かれていますが、ピコラエヴィッチ紙幣とは、ニコラエフスク・ナ・アムーレ (尼港)にあった島田商会が発行した商品券というべき性格の島田商会札のことでした。
当地で幅広く交易をおこなっていた実在の島田商会の果たした役割の中にこの聞き慣れぬ紙幣があったわけです。日中戦時中の軍票は知っていましたが、民間会社が発行した地域通貨なんてほとんど知られていないことが、題材としての面白さにつながり、本書の価値を上げているでしょう。

1920年におこった尼港事件は教科書で少し習うくらいで、日本人にとって馴染みのない事件ですが、ロシア革命後の混乱の中でおきた実に残虐な史実を元に本書は構成してありました。
フィクションとしていますし、登場人物も架空の人物を登場させていますが、しっかりとした調査により、ノンフィクションを読んでいるような気分にさせられました。
主人公とでも言うべき黒川収蔵とオリガのロマンスは本書の構成に大きく関わっていたわけで、ラストの意外な展開がまた読者を惹きこむ要素になり得たでしょう。

中間部はリアリティを加味させようとするあまり、少し展開が遅くなるきらいがありましたが、後半の100ページ以上にわたる戦闘シーンはテンポも良く、グイグイと読者を引っ張って行きます。臨場感あふれる描写はまさしく小説の醍醐味を伝えるものでした。このあたりの文章はとても力を感じさせるものでした。

熊谷 敬太郎さんは、本書で小説デビューを果たしました。63歳とのこと。別の職業を持ってこられたわけですが、この遅咲きの作家の次の作品を楽しみにしています。
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形式:単行本
今年(まだ一月を残す)読んだ本の中で一番面白かった小説だ。
作者はフィクションと言っているが、限りなくノンフィクション
に近い社会派ストーリーである。まずタイトルに目を奪われて
金融小説の類と想像してしまうが、それは違う。
日清、日露の両戦争を勝ち抜いて、欧米先進国の仲間入りをした
と錯覚した、日本は第一次世界大戦にも巻き込まれて行く。戦勝
によって得られた北方利権を求めて樺太やシベリヤ方面への民間人
の進出も活発化し、苦難を経て成功する人達も現出する。この物語は
その一例だ。以前に読んだ石原 慎太郎現東京都知事の一家を描いた
「てっぺん野郎」に出てくる知事の父君の樺太貿易の話を思い出させる。
舞台は極寒のシベリヤへの海からの入口ニコライエフスク港、時は
1920年、進行中のロシア革命で、東へ東へと解放を旗印にボルシェビキ
は進む。そして起こったのがあの悲劇のニコライエフスク事件であった。
3月から5月のたった三か月間で日本駐屯軍、日本人居留民、大多数の
反労農と見なされた住民達はボルシェビキに虐殺され街は焼野原と化して
しまう。主人公は印刷工、インフレで無価値となったルーブルに替わって
この街の経済を支える独自紙幣を製作しに派遣された。36歳の彼に振り
かかる試練、革命の名のもとに行われる不条理な虐殺、シベリヤの厳しい
大自然、美しくもけなげなロシアの美少女との恋、大志とは裏腹に住民達
から降りかかる怨嗟の攻撃が展開されて行く。
こんな歴史もあったのだ、と思わせる逸品だ。
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