映画『夜のピクニック』のためのスピンオフ企画として、本編で語られる歩行祭の前日を登場人物に合わせて9本のショートフィルムにまとめた作品。
映画や小説は言わば、一つの世界の一カ所を切り取って表現しているわけで、「夜のピクニック」で語られた歩行祭があればその世界には当然前日譚も後日譚もあって当然なわけです。ところが、ほとんどの作品の例えば「2」が面白くなかったりするのは、「1」で切り取っていた部分が曲で言うサビみたいなもので、前日譚や後日譚は切り取り方が下手だと見られたもんじゃないような作品になってしまいます。この作品はその切り取り方が実に巧い。
特筆すべきは、主人公と言っても良い3人を除いては本編とは違う監督が作品にしていること。それも本編のテイストをぐちゃぐちゃにすることなく、それでいて「遊び」の部分を許している(「序奏」なんていかにも「彼」らしい妄想で良いですね)あたりが単体作品としても充分評価できると思います。
原作があるとは知らずに観たので評価を下げるかどうか迷ったのですが、原作があってもこの映像だけで充分本編に興味を持てるだけの出来だと思ったので結局☆5つに。原作を読んでいない人、映画を見ていない人は対象にしていません。
あぁ、また原作読みたくなったなぁ。