ダ・ヴィンチやラファエロといったメジャーなルネサンスの芸術家に比べ、ほぼ同時代人の「イタリア人」でありながら、影の薄い?ピエロ・デラ・フランチェスカの魅力を、本書は、余すところなく紹介してくれます。ピエロの作風の特徴は、数学的に計算された構図と、仏像彫刻にも似たクールで硬質なまでの人物の表情にあると思います。前者の代表は『キリストの鞭打ち』に、後者は『フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ』と『バッティスタ・スフォルツァの肖像』が良い例だ思います。時代背景と作風を精査する本書は、美術の知的ミステリーを堪能できる上質の内容になっており、初心者でも安心して読めると思います。特に数学的思考の持ち主にはお勧めします。