15巻で雨宮パパが阿字野先生のピアノを評して言っていた、「中毒」という言葉。
それがこの16巻で、阿字野先生の意志を継いだカイのピアノに重なります。
カイは、同じ歳の雨宮やレフに比べると、人間的に出来過ぎなくらいですが、
そこに至るまでに、どれほどの苦悩があったのか…。
阿字野先生とカイの過去に触れる話もいくつか出てきますが、
「クソババア」に叱られるシーンでは、連載の最初の方で医者に襲われそうになった
カイを思い出して、何をされるのかとハラハラしてしまいました。
あの程度(と言ったら可哀想ですが)で済んで本当に良かった…。
そんなカイを救い出した阿字野先生の想い。そしてレイちゃんの想い。
どれだけのものを背負って彼がここにやってきたのか。
そんなことを考えながらカイの演奏する姿を見ていると、胸が詰まります。
コンテスタントの弾くピアノは、彼らの人生そのものの表現しているのですね。
連載時私の中では多少違和感のあったプレリュード24番ラストのfffも、
通しで読むとカイの怒りと悲しみの表現として説得力がありました。
キリキリと張り詰めたシーンを和らげるように描かれる、ユーモアのあるエピソードも大好きです。
靴のエピソードやジャンの愛情に満ちた態度、大事な発表に遅刻して全力疾走しているカイ。
パン・ウェイの謎にも興味津々です。(阿字野先生を見てなぜか顔を赤らめてるし。)
苦悩?する佐賀先生の姿もとってもいいですね!
もう二度と会えないかもしれないと思いながら求め続けた気持ちはよくわかります(笑)
マリアと再会できて本当に良かったですね。(再会とはまだ気づいていないようですが。)
演奏と平行して語られる登場人物達の言葉や表情も本当に上手いなあと思います。
これだけの内容を読ませてもらえるのなら、発売延期も仕方ないかなという気持ちになりますね。
15巻を購入した時も何度も読み返しましたが、今回も今日購入して5回読みました。
読者である私も、すっかりこの作品の、そしてカイのピアノの中毒になっています!