独自の視点で名ピアニストをとりあげたガイド本。通常注目度の低い名手たちも積極的にとりあげて、高い評価を与えている意味でもユニーク。リストやチェルニーの弟子たちから始まり、コンクール時代を経て、今日のアイドル化やテクニックに走っていく「とんでもない職業」のピアニストたちの変遷がつづられる。特に後半が興味深く読めた。3章、4章でのピアニストのさまざまな使用楽器(ピリオド楽器ではない)への着眼や、作曲家の演奏などいままでの本になかった情報は、いままで気付かなかった点を数々鋭く指摘して、ピアニストたちのイメージを塗り替えてくれる。最後の章は力作で、名ピアニストたちのほとんどがコネの一大潮流につながっていることを教えてくれる。値段はやや高いが、従来の名盤ガイドにはない手応えと発見のある一冊。