18世紀の春、13歳の少年マットは父さんと
マサチューセッツ州からインディアンも住むという森に越してきました。
丸太小屋を完成させると、
母さんと妹と、
もう一人生まれる赤ちゃんを連れて帰ってくる約束をして、
父さんは森を離れます。
マットは一人で(予定では)「6週間」の留守番を引き受けますが、
それは、生涯忘れることのできない恐怖と孤独と冒険の日々となります。
マットはある日、見たこともないインディアンの老人と少年に思いがけなく助けられ、
少年に文字を教える代わりに、森で生きるための知恵を授かることに。
最初はぎこちない関係でしたが、やわらかい心で接していくうちに
白人たちに生きる場所を奪われ追われていくインディアンの失意も感じていきます。
スピアの筆に安心して身をゆだねながら、
マットにくっついて読み進めていくうちに、心の片隅にある野生と好奇心が満たされました。
なかなか踏み込めない相手としだいに密接な関係となり、分かり合えたものの、
元の鞘に収まっていく終盤はなぜか安堵。
成長したマットが家族を迎える準備をする場面は特にいい。
『ビーバーのしるし』1986年 犬飼千澄訳 ぬぷん児童図書出版 の再訳です。
1984年ニューベリー・オナー賞受賞作品です。
『
からすが池の魔女』で描き足りなかったと思われる
インディアンの社会について、本書では雄弁に語っています。
優れた「ゆきてかえりし」物語です。