評者はビートルズと各ソロ作を愛聴して早や35年、耳にタコができるくらい聴いてきた。(ちなみにジョージ、ポール…の順)
なお筆者の著書を紐解くのは初めてである。
本書は一言でいえば69年から73年春までのソロ作のいわゆる「誤訳見直し書」と言える。
それにしても仰天したというのが一読しての印象。聴き取り歌詞の誤りから始まって、オリジナル掲載歌詞と実際に歌われているのとの違いは勿論、あえて掲載を略しているであろう歌詞まで明らかにしていく。(ジョージのアウェイティング・オン・ユー・オールの最後など何百回聴いても評者には不明であった)
この時代はメンバーが30代を迎え、歌詞にビートルズでは表現できなかったパーソナルな心情を表に裏に織り込んだ曲が多く、4人それぞれの個性を愛する者にとって興味の尽きない時代である。
それを精度の高い歌詞聴き取りと和訳であらためて捉えることができるのは大変価値が高い。
最近聴いていない作品も聴き直してみようという気にさえなった。
和訳以外の記述についても、筆者がプロのビートルズ研究家ではなくとも現時点での資料も踏まえたものとなっており、永年のファンから見ても過不足はない。
4人の作品を偏りなく(といってもリンゴが少ないのは仕方がない)年代順に全曲取り上げていく作りは誰のファンであっても納得がいくもので(複数であるほど楽しみが増す)、続編が今から楽しみだ。また筆者による完全対訳を読みたいとの思いに駆られる一冊である。