08年に上梓後改訂版が出版されていないようだから、本書で採り上げた謎とその答えまたは経過報告は現在でも有効なのだろう。
普通のビートルズ・ファンの私の目から見て、熱心なファンがビートルズ史の何を謎とし、それに関する伝説の信憑性を著者が検証する本書は、細かいと思いつつ感心する項目と、ビートルズ・ファンとして知っておくべき項目の両方を含む。
前者は例えばホワイト・アルバム封入の4人の写真のうち、ポールだけ他の3人より顔が大きいこと。これを謎に思ったことはなかった。「ブッチャー・カヴァー」やブライアン・エプスタインにビートルズの存在を初めて意識させたレイモンド・ジョーンズなる人物について知っている日本のファンはどの程度いるだろうか。でもこういう謎の存在を知るのは楽しい。
後者は大いに勉強になる。アルバム・タイトルとして、回転式連発銃を意味する即物的なリヴォルヴァーが選ばれた理由、英国盤と内容が違うUS盤ラバー・ソウルがブライアン・ウィルソンに与えたインパクト、ジャッキー・デシャノンとビートルズを結ぶ線、アップル社ビル屋上でのライヴでの警官の行動を予測して待ち受けているカメラ撮影の不思議、アビーロード録音セッション中にポールが涙をためて自宅に戻り、ジョンが塀をよじ登ってポールに呼びかけた事件等。著者の推理は論理的で、本書はポールの事件の証拠写真やジョンが解散同意書にサインする瞬間の写真も掲載。
最後に著者が指摘するように、4人のグループは解散したが、アップルの重役陣として解散したことはない。望むは映画レット・イット・ビーの特典映像つきDVD/BDの発売。