さすが低学年の課題図書であるだけあって、テンポの早いリズミカルな作品でとても面白かったです。擬音語を用いた音の表現や、登場する色彩の豊かさが小気味の良いテンポで繰り出されれば低学年は興味をそそられることでしょう。しかも、主人公が同年代であれば感情移入もしやすく、自分の身におこるものとして様々な教訓も受け入れやすいのではないでしょうか。
色彩や、音の表現が豊かと書きましたが、それらは日常に存在する身近なものを通じているために、読書以外の生活科などとも統合的な興味となって得られるのではないかと感じました。
ストーリーも王道すぎず、子どものわがままさなどの「悪」の側面をよく描き、現実的な物語として受け入れられると思います。
また絵もカラーと白黒がうまく調和的に取り入れられており、物語としてのリズムや迫力が伝わってきましたし、それほど精密で繊細な絵ではないため子どもも真似して描こうと思えばそれに近い絵が描けるという点でも前述の統合的な視点が得られるのではないでしょうか。
従って私は、本書はストーリーに含まれる教訓に注目して読むより、スタイル、構成などに注目して読み進めることの方が意味ある読み方ができるのではないかと思いました。
子どもにとって一読の価値ある一冊です。