内容(「CDジャーナル」データベースより)
本作でついに実現した憧れのエルヴィン・ジョーンズとの共演も、セッション三昧の日々のちょっぴり特別な1日にすぎないのかも。と想像させるに十分すぎるマイ・ペースな1枚。羨ましい。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
遠い昔の記憶。夕暮れ時、時間の流れが今より遥かにゆったりと流れていた子供の頃の記憶……フリゼールの音楽は、人の心にそういった憧憬を帯びた懐かしい心象風景を描き出す。客の目を釘付けにする磁気を放つ空間と延々と続くように錯覚する時間の魔力。2000年、久しぶりの来日公演となったステージでも見事にそのフリゼール・マジックを見せてくれた。
そのフリゼールの新作はなんとエルヴィン・ジョーンズ、デイヴ・ホランドとのトリオだ。セックス・モブのケニー・ウォルスン(ds)を加えた前記の来日公演、ジム・ケルトナー、ヴィクター・クラウスなどロック&カントリーの重鎮を迎えた『ゴーン、ジャスト・ライク・ア・トレイン』など、最近のフリゼールの活動の比重はトリオ以下のシンプルなフォーマットに置かれている。
エルヴィン・ジョーンズとデイヴ・ホランドという能弁な二人とのセッション。だが、互いの空間を埋める過激とも言える三人の会話を期待すると見事にはずされることになる。狂気を秘めたフリゼールも、野獣的な狂暴性を持つエルヴィンも、饒舌にベースを唸らせるホランドもここにはいない。たとえば「アウトロー」でエルヴィン・ジョーンズは多くを語らない。フリゼールの浮遊するギターに連続する同じビートで加担することで、永遠に続くかのような時間の幻惑を導き出すエルヴィン。コルトレーンとの共演は聴く者にエネルギーを強いるが、フリゼールとエルヴィン、そしてホランドのトリオが生む時間の流れは深く不思議な安らぎを与えてくれる。アルバム全般に浸透しているその茫洋とした快感はフリゼールがここ数年ずっと保ち続けているイメージだ。曲の多くがフリゼールのセルフ・カヴァーだが、かつてのアヴァンギャルドは影を潜めたゆらぎサウンド。そしてフリゼールの示す方向に自ら乗って寡黙な達人と化したエルヴィンとホランド。ビル・フリゼールが続ける音楽の旅にまたひとつ素敵な出会いが加わった。 (渡辺昌美) --- 2001年12月号