「いくつかの事柄」となってはいますが、当時の風潮(ピアノトリオはBGM扱いであったことなど)やビル・エヴァンスの考え・音楽的志向、アルバム発表の背景や思惑などとてもよくわかりました。これだけの芸術的才能とインテリジェンスをもった人物が、ドラッグによって身を滅ぼしてしまったことの悲しさ、また長年一緒だった恋人や唯一の肉親である兄の自殺など、ビル・エヴァンスは生活者としては決して幸福ではなかったことが良く分かります。ピアノを弾くためだけに生きていた最晩年の姿は胸に迫るものがあります。それだけにこの人が残した数々の作品・音源が尽きない興味と共に非常に魅力的にレリーフされてくる。それが再認識出来たことが、この本を読んだことによって得られた最大の収穫でした。それにしてもビル・エヴァンスの死に対するマイルス・デイビスのコメントが哀しい。