▼「アジア最後の秘境」として旅人を魅了する「微笑みの国・ビルマ」には、オカマの霊媒師から首長族まで、観光と不可分の日常と生業があります。他方、ビルマには「仏教」の一言ではくくれない多様な文化と歴史があることは今回の事件でも、あまり外に伝わってきません。長期にわたってビルマ政府に抵抗し続けたキリスト教徒のカレン民族のみならず、ヒンドゥー教徒やイスラム教徒も迫害に耐えながら独自の文化を守り続けてきました。
▼瀬川さんは、人々の生活・宗教・歴史に目を向け、国境・僻地で生きるビルマ少数民族の日常を温かな目で撮し取りました。まえがきでこう述べています(前後関係がわかるように加筆)。
ツアー旅行に参加して、寺めぐりや川下りだけを楽しんでいれば、軍事国家・警察国家の現実は体感できないかもしれない。しかし、ひとたび人々の暮らしの中に入ってみたり、旅行者ならごくあたりまえの「行きたいところはどこへでも行くぞ」という好奇心を抱いたりすれば、たちどころにさまざまな事態に直面することになる。ビルマ=ミャンマーを旅するということは望むと望まないにかかわらず、この両極端な二つの世界を揺れ歩くことなのかもしれない。
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