表紙買いした作品ですがこれは当たり。
全て書き下ろしなので読んだことのある方はいないでしょう。
近未来、整形が簡単になった世界でのSF連作です。
人は美しい体や顔を簡単に手に入れるようになり、容姿の優劣がなくなっています。
そんな「何にでもなれる世界」でも人は悩んだり、人生の道がわからなくなったりする。
そんな短編が多く、人間のダークな面がいろいろ露呈していますが読後感はさわやかです。
どこか登場人物は病んでいるけど、なんとも愛おしい。
最初の一遍は整形外科医を父に持つ主人公と、みんなが整形をしている教室でただ一人整形をしていない女の子の話。
こういう設定だけで好きなのですが、短編の最後には意外な結末が待っています。
全ての話が印象的ですが、中でも好きなのが引きこもりの兄がアニメの女の子に整形して南の島に行く話です。
かなり設定的にアレですが、話の終盤にはさまれる1枚絵が素敵です。
最後の一遍のヒロインは歌手。特徴のある顔が評判になり、スターとして登りつめていきます。
自身の力で栄光を手にしますが、ある日「飽きられて」しまいます。
行き場を失ったヒロインの決断は、一度生まれ変わること。この世界では別人になることも簡単になっているのです。
そこで訪れる、この結末は深い余韻を残してくれました。
性的なシーンも多く、あくまでファンタジーよりの作品のため、好き嫌いも分かれると思います。
しかし、こういう完成度の高い作品を発見したりするのは漫画を読んでいて嬉しいこと。
作者の坂井恵理さんも含めて、もっと多くの人に知って欲しいと思います。
戸田 誠二さんの「スキンエンティア」にちょっと雰囲気が近かったので、好きな人にはおすすめ。
読んでよかったです。