古書店,つまり古本屋さんと古本を題材にした四話収録の連作短編集に近い作品で,
その四話に四冊の本がそれぞれタイトルとして当てられているのも興味を引かれます.
内容はいわゆる『日常の謎』系,それぞれの本を踏襲するちょっとした謎や事件を,
カバー絵の女性主人が安楽椅子探偵,語り部の青年が助手となり解決をしていきます.
また,人の手を渡る古本ということで,本を巡る思いやそれまでの時間に重きが置かれ,
血生臭い話はないものの,一話にはじまりどちらかと言えば重めに寄った印象を受けます.
そしてこれらとは別に,四つの話を貫くように描かれる全体を通じた謎と人間模様は,
やや平易な部分もありますが,各話をうまく回収しながらキレイにまとめられています.
ただ,ちょっと気になったのは説明的というか作文のような表現がチラホラあったこと,
連載されていた作品でもないのに,話のたびに人などの説明が入るのが冗長に感じました.
それでも,本や古書店好きをくすぐる内容になっていて続刊の方への期待も膨らむところ.
なお,登場する本は作中で内容などが語られますので,知らなくても全く問題はありません.