何かと「話題」の耐えない50centの4th。CD+DVD盤では自身が監督、主演を務める同タイトルの映画が付属するとの事(下記はCDのみのレヴュー)。映画が必要ないという方はボーナストラックが2曲収録された国内盤、もしくはITMSでのダウンロード購入をお勧めしたい。
前作"Curtis"が不評(とは言っても個人的には十分傑作レヴェルだったと思うが)、更にはシングルのチャートも一向に振るわず、「単なるビッグマウスだったのか!?」と精神的にも決して好調ではなかった50cent。しかしオフィシャルで2枚のミックステープ("War Angel LP""Forever King"の2枚。本アルバム収録の"Ok, You're Right"も聴ける。)を無料配布するなど活発な動きも見せ、延期に延期を重ねて発売となった。
相変らず品性に欠けるリリックと、アルバム序盤〜中盤のハード路線なトラックを聴いて一安心。これぞ50!と呼べるM-4"So Disrespectful"ではマシンガンを乱発するかの如く大物をディスってるが、M-7"Crime Wave"やM-10"Get It Hot"、M-11"Gangsta's Delight"あたりを聴く限り、トラック選びでも十分に個性を出せる人間なのだから、もっと(音楽として)真っ向に勝負すべきでは?とも思う。無名のプロデューサーのトラックを積極的に取り入れてる事も好印象だしね。
Ne-Yoのコーラスと50のヴァースが異様にマッチするM-13"Baby by Me (feat. Ne-Yo)"からはリリックも含めてR&B路線。あえて後半にこういった売れ腺をまとめた事は実に意味ありげ。でも実際聞き疲れしないし、ボーナストラックとして収録されているM-16"Could've Been You (feat. R. Kelly)"なんかは斬新なコーラスパートをR. Kellyが歌って(語って?)るので、"リスナーに媚びてるなー"という感じはそれほど強くない。各トラックのフックも前作に比べればかなり丁寧。それが印象に残るか否かと問われれば弱いかもしれないが、何度も繰り返したくなる構成も手伝って、スルメ的なアルバムだと言えるだろう。
初期と差は歴然かも知れないが、アングラな雰囲気もメロウな雰囲気も楽しめるという、新しい一面を覗かせた50のニューアルバム"Before I Self Destruct"。単にセールスを上げて粋がっている男だというだけで50を食わず嫌いにするのは勿体無い。今後はベスト盤の発売を持ってレコードの契約が切れるそうだが、果たしてその先はどんな「話題」が待っているのか、楽しみである。 ★★★★☆(4.5点)