本書は、前身である「クレジット・デリバティブのすべて」(河合祐子、糸田真吾著、財経詳報社)をたたき台に、最近のクレジット・デリバティブをめぐる状況を金融機関の実務家や研究者まで必要な尺度から十分に網羅した内容となっている。前身である「クレジット・デリバティブのすべて」出版後、金融危機、クレジット・デリバティブ関連の制度改革、事業再生ADRの本格導入、など様々な注目ヘッドラインが続いた。
著者は、「近年の金融市場環境の変化と同様に、クレジット・デリバティブ市場の変化のスピードは速く、また、市場の幅広い側面に変化が及んでいることから、日頃から実務に携わっていないと、市場や商品性の変化を正確に理解することが困難であるのも事実である」と指摘している。さらに、「大きな変遷を経たクレジット・デリバティブであるが、現在も市場のニーズに合わせた取引実務の見直しが進められている」状況であり、「本書によって市場の歴史と現状を確認し、今後の動向についていくためのきっかけとしていただければ幸いである」と述べている。
基本的な商品性や取引の契約書といった基礎的な情報に加えて、著者が本書に散りばめた数々の事例及びそのインプリケーションは、市場参加者のクレジット・デリバティブの知識の充実化や将来市場で起こる可能性のある出来事に適切かつ迅速に対応する力の向上といった面を通じて、クレジット・デリバティブ市場の健全な発展に寄与する、と期待される。