前2作が超絶に面白かったので、こちらも期待して購入した。700ページ近くある大作であるが、あっという間に読んでしまった。
確かに宇宙論の解説本としては物足りないという意見もあるだろう。ビックバンの解説はほかにもいい本がある。だが、この本は、ビックバン理論が歴史上どうやって浮かび上がって、どうやって対立する理論を蹴散らし、最終的に確立されたかという筋を追ったもので、たいへん説得力がありドラマがある。
昔はトンデモ理論だったビックバン論が正しいと認知されるまでの過程を知るのと、
すでに認知されたビックバン論を解説したものを読むのでは、理解の深さでいうと前者の方に軍配が上がるだろう。
たとえば、現在の民主主義、たとえばアメリカの3権制度の仕組みを解説した本があったとしよう。それは確かに詳しく現状を分析しているが、面白くはないだろう。それより、古代からどうやって民主主義が成り立ってきて、なぜヨーロッパのピューリタンが新大陸にわたって国家をつくったのか、といった根本に流れる思想について解説した本の方が、はるかに示唆に富むからである。
本書もそのようなものである。