06年07月の単行本を文庫化した作品です.
テンポもよく,明かされる事情にも確かにキレイに繋がるのですが,
振り返ってみるとまわりくどく,おどろきのようなものがありません.
また,だまし合いや大勝負での緊張感や爽快感などもあまりないようで,
たびたび入る場面の切り替えが,却って逆効果になってしまった印象です.
ほかにも,登場するギャンブルの説明や描写がかなり冗長に感じられ,
紹介されるルールや数字が,勝負や物語にほとんど影響してこないため,
時に数ページにもなるそれには,知識の有無を問わず退屈してしまいます.
とはいえ,交錯する思惑や翻弄される人たちの描写はなかなかですし,
ギャンブルに取り憑かれた人を皮肉ったエピローグには思わず苦笑いが.
このあたりは,ずっとこの題材を扱っている著者ならではと思わされます.