ビジュアル版逆説の日本史も第4巻にして初めて1人の人物とその時代にフォーカス。信長の日本史における突出した存在は、1冊を費やす価値がある。
岐阜城天主から信長も天下統一のプランをねりながら見ただろう「天下布武の絶景」から始まり、織田家発祥の地・越前、発展の地・津島を紹介。次に分裂状態の尾張を統一するまで。文字では目にする織田の同族の城や合戦場をコンパクトに地図にまとめてくれたのは有難い。そして桶狭間の戦い、将軍義昭がしかけた元亀三年間の苦闘、長篠の合戦に代表される飛躍の時期、そして本能寺の変までを、多くの史跡、地図、書状の現物(信長自筆の書状、安土宗論の詳細を綴った安土問答等必見のものあり)、屏風絵等のカラ―印刷を交えて解説し、ビジュアル面は文句なし。
解説文も桶狭間や長篠合戦の真相、本能寺の変の引き金に関する諸説検討を中心に充実しているが、藤本正行氏の「新説」の肩を持っているようだ。その他信長個人に関しては精神科医による深層心理分析、具足等の遺物から推察する信長の嗜好、諸エピソードの紹介等、ぬかりはない。さらに安土城等の今昔にも頁を割いているから、信長全史という看板に偽りはない。戦国スイーツと合戦食等の息抜きのコーナーもある。
信長だけでなく、同時代の今川、武田、北条、上杉そして浅井、朝倉といった戦国大名の動きも簡潔にわかりやすく記している。小谷城址の紅葉が美しく、まさに兵どもが夢の跡だ。