地図も人類が文字を持ち始めると同時期前後からその歴史があること本書は示唆しながら、地図が単に現代の実用的な道案内や地域に説明を与えるのみならず、地図が対象とする人々、社会、文化と歴史を描き出し、世界観をも描くことを示唆する序文で始まる。
本書で紹介される地図は200種類を超え、人類最古の地図は楔形文字で記された陶板であり、3500年以前のもの推測される農地の地図を米国議会図書館収蔵地図として紹介される。地図の持つ意義の奥深さを語り、古代から現代まで、地域は世界中の地域ごとに作成され、議会図書館が収蔵している地図を丹念に解説した意義深い参考図書である。
日本をマルコ・ポーロ時代から始めながらも奈良・平安へと遡りつつ源氏物語を描いた江戸時代の木版画の技法に地図の技法があるとか、その精緻な解説は作成された時代と地域の文化がもつ原点を示唆する深い洞察に満ちている、
挿図も必要に応じてカラー、図版一覧、参考文献一覧、索引と充実しており、地図文化の意味を精緻に語っている。それにして、収録した地図がすべて所蔵品である図書館の奥深さを改めて思い知らされる。戦前、地図は軍事機密でもあったことを思い出す次第。