本書の見事さは、100選にどの城が選ばれているかということではありません。これをまとめた著者達は、あきらかに城というものを見た目だけの巨大美術品のようには見ておらず、防御機能を中心とした城の本質に強くこだわっており、本書は徹底してそこから離れずにまとめ上げられています。したがって、かならずしも立派な天守閣を持った有名な城だけが選ばれているのではなく、一見地味な山城もあちこちで取り上げています。朝鮮出兵時に作られた朝鮮半島の倭城を紹介しているページもあるくらいです。
縄張、櫓、門、虎口など、それぞれについての説明も簡潔ながらわかりやすく、Visualでカラーの図や写真を多用して説明されています。山城と平城、石垣や堀のそれぞれの種類についてもきちんと分類してそれぞれの特徴や進歩についての解説が行われています。100選の各城の紹介では、縄張の図が必ず記載されており、進入路の防御などの様子も写真に矢印を付けてわかりやすく読者の注意を喚起するようになっています。一方で、各県でかならず一つは選ばれるように配慮してあります。
大型本で、その上保存版にふさわしい内容ですから、それなりの値段になるのも理解はできます。ただし、それにしても、ちょっとお高いように思われます。