ツイッター本は数あるが、どれか1冊をあげろといわれたら、迷わず本書をあげたい。自分の家族(夫や妻、子どもたち、両親など)に「ツイッターのおもしろさ」を説明するだけなら、他の入門書でよいが、これから社会に出る大学生や、バリバリと仕事をしているビジネスマンなら、最初に読むべきは間違いなくこれだ。
邦題が「ビジネス・ツイッター」となっていることからも分かるように、本書には70を超えるツイッターの先進事例が紹介されている。ここでポイントなのは、成功事例だけでなく失敗事例や課題についても、キチンと取材し、大変ていねいな分析と解説をしているところだ。
折しも我が国ではつい先日(2010年2月)、UCC上島珈琲がツイッターを使ったPR活動を実施したところ、ユーザーの間で迷惑行為と問題になり、大炎上に至るという事件が起こった。あろうことかbotを使ったスパム的な行為となってしまい、お詫び文を出すまでの騒動に発展した。
もし、担当者が本書を読んでいれば、このような事件も起こらなかったはず・・・と、本書の出版前のことではあるが、非常に残念に思った。「ウチの会社でもひとつツイッターを」と考えている企業の担当者は必読の書だと思う。
ところで、本書は邦題こそ「ビジネス・ツイッター」だが、ただの事例集ではない。実は私も「ビジネス」や「事例集」のキーワードには辟易しており、本書を手にしたときは「ふーん、どうなのかね?」と内心では思っていたのだが、一読してそれは杞憂だったことがわかった。
著者のシェル・イスラエル氏は、1944年生まれの66歳で、新聞記者からスタートした著作家。創業時のサンマイクロのコンサルもしていたという、シリコンバレーでは知らぬ者のないゴッドファーザーのひとりだという(訳者あとがき)。そんな多才なゴッドファーザーの面目躍如な内容になっている。
私が気に入った点は、1冊で3度おいしい作りになっている点だ。特に、構成が素晴らしい。何よりも「ツイッターとは何か?」についての解説と洞察が秀逸だ。イントロダクションと第1部を読むことで、ツイッターの本質がつかめる。第1部までは一気読みがオススメ。特にデル、コムキャスト、フォードの例はツイッターの活用例として示唆に富んでいる(なぜ、2部の事例ではなく、1部にもってきたのかというところに、非常に意味がある!)。
次にまわり道をして第3部を読んだ。このパートは、企業のツイッター利用術として、シリコンバレーのゴッドファーザーが直々に指南をしてくれる、お役立ちページだ。第1部の後でここを読むと、簡潔にまとめられたヒントと指標が、非常に有益に感じた。
そして最後に、第2部の事例集のパートを、興味のあるところから拾い読み。本書は400ページを超えるブ厚い本だが、そのボリュームは第2部の事例集が膨大なためなので、1部と3部を先に読んでしまえば、後はスイスイ読める。また、先に第3部を読んでおくことで、各事例の理解度がより深まることになる。「なるほど、ここか!」という成功や失敗のポイントがより明確に見えてくると思う。
というわけで、久しぶりにアメリカのジャーナリストの凄みを感じた一冊だった。