同時に3作発売されたうちの一つ。他の二つは代表作である『野ざらし』と
『蝦蟇の油』を中心に他の作品とカップリング。妥当な組み合わせだろう。
このCDの三作品すべて当時のラジオ東京(現TBSラジオ)の音源。『青菜』
では植木屋の熊さんの酔っ払いぶりや喜んで芝居を演じるおかみさんの明るさが
なんとも言えない。『居残り佐平次』は佐平次の暴れぶりが楽しい。オチも工夫
されている。『穴泥』は、ある意味で歴史的な音源である。昭和31(1956)年3月
14日にラジオ東京のスタジオで収録され、この直後に向かった上野の鈴本で
脳出血で倒れ、意識不明のまま当日夜に亡くなっている。翌日の追悼番組で放送
されたが、その時の正岡容さんの追悼の言葉が一緒にCDに収められている。
この噺は亡くなる直前の収録とは到底思えない出来であり、その死が、いかに
突然だったかが分かる。正岡容さんは追悼番組で名人柳好の幇間噺とともに酔っ
払いの噺を高く評価しているが、まったく同感である。酔っ払いの噺は、八代目
の三笑亭可楽が「陰」で秀逸なら、この人は「陽」で飛びぬけて上手い。
もっともっとCDの発売を期待していた名人柳好の作品の一挙リリースへの感謝
の気持ちと、今後のさらなる期待も込めて☆五つ。