ビル・チャーラップのヴィーナス版トリオであるニューヨークトリオの新作は、「五線譜のラブレター」の影響なのか最近の日本のジャズ界では注目度の高いコール・ポーターで固めたいかにも日本的な企画ものアルバム。チャーラップ氏は、流行りのヨーロッパ系ジャズピアニストとは一線を画した(?)アメリカンなサウンド(私はどちらも好きですが)。すなわち、あくまでもクリアで美しい音ながら、強靭で明瞭、骨太とさえ言えるサウンド。しかも、響きは豊かで、ゆったりとリラックスして楽しむことができます。
録音は、ヴィーナスだけにきわめて鮮明で情報量の多いもの。ドラムスはシンバルの音がシャープな響きで捉えられてます。ベースは渋く落ち着いた表現が印象的。ついでに一部、鼻歌もたっぷり収録されており、これは賛否の両論がありそう。個人的には、ライブ録音でもない限り、鼻歌入りはあまり好きではないのですが、本作では気に障るほどでもありません。
コール・ポーター作品は、最近とくに女性ジャズシンガーの歌で聴く機会も多く、MAYAさんの「私の心はパパのもの」や、水野直子さんの「ビギンザビギン」、土岐麻子さんの「Just One of Those Things」などを連想しながら、チャーラップ氏の「歌もの」料理の上手さを味わっています。この企画はヒットだと思われます。