本書は、2部構成の法律英語入門書です。第1部は「会社のことを語れるようになる用語用例208」。この分野の用語は定訳のないものが多いのですが、本書の代表者印登録、新株予約権の行使、新株予約権の発行、第三者割当、買取請求権、株式併合、記名株式、銀行取引停止処分、新設合併、吸収合併などの訳語はたいへん参考になります。第2部は「契約書が読めるようになる用語用例208」。主として取引に関する用語の簡潔にして明解な解説です。なお、付録として会社定款と基本契約書のサンプルがついています。
本文の途中に16のコラムが挿入されていますが、例えは、shares issued と shares outstanding の違い、「その他のX」と「その他X」を訳しわける、and と or をきちんと訳すための大ワザ、小ワザ、など目からウロコの有益なコメントに満ちています。日本独特の法律用語についても、有益な示唆が盛りだくさんです。例えば「期限の利益の喪失」。本書では acceleration をあげています。(これを forfeiture of benefit of time と直訳したのでは、日本でしか通用しないのではないか。ちなみに Black's Law Dictionary で acceleration を引くと、the advancing of a loan agreement’s maturity date so that payment of the entire debt is due immediately と定義されています。)250頁足らずの小冊子ながら、熟読玩味に値する優れものです。