作者プロフィールを見ると、サントリー宣伝部勤務を経て独立、とあります。
そんな「元・ビア・ボーイ」が書いた小説なので、面白くないわけが無いのです。
名前こそ微妙にいじってありますが、主人公の働いている会社は紛れもなく
サントリーっぽいし、ライバルの「ライオンビール」は、キリンを指しているのが
すぐにわかります! もちろん、なるほど、これはアレね、とそうやって
探りつつ読むのも楽しい1冊。
主人公は、京都の大学を卒業後、大手洋酒会社に入社します。高倍率を勝ち抜き
皆が希望する宣伝部に配属されて仕事も絶好調。
調子に乗って、取引先の社長のお嬢さんに手をつけて左遷されてしまうまでは、
挫折知らずの自信家のオレ様くん。
彼が異動を命じられたのは、本社を遠く離れた、日本で一番売り上げの悪い
ある支社。その田舎ぶり、無能そうな上役や同僚、耳慣れない方言など、
どれもが、望まない転勤、しかも広告の仕事が好きだったのに営業、という
仕事内容も変わってしまってガッカリしてる主人公を苛立たせるけど、
「早く、営業として結果を出して、本社に返り咲く!」と営業の仕事をスタートさせます…
ちょっと、夏目漱石の「坊ちゃん」に似ています。都会の生意気で怖いもの知らずの
若者が、地方に仕事で赴任して「なんだよ、ここ」と戸惑いながらも自分流にあがいて
仲間や世界を広げていく、悪いヤツには、地元の偉い人だろうが何だろうが
時には暴れたりもしつつしっかり正義の味方しちゃう。読んでいる間の爽快感は
ノド越しのいいビールといい勝負です。
主人公がだんだん仕事に目覚めて行く描写の疾走感、気持ちよく酔えました。