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ヒロシマ・ノート (岩波新書)
 
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ヒロシマ・ノート (岩波新書) [新書]

大江 健三郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

広島の悲劇は過去のものではない。一九六三年夏、現地を訪れた著者の見たものは、十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの“悲惨と威厳”に満ちた姿であり医師たちの献身であった。著者と広島とのかかわりは深まり、その報告は人々の胸を打つ。平和の思想の人間的基盤を明らかにし、現代という時代に対決する告発の書。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大江 健三郎
1935年、愛媛県に生まれる。1959年、東京大学文学部フランス文学科卒業。現在、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 186ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1965/6/21)
  • ISBN-10: 4004150272
  • ISBN-13: 978-4004150275
  • 発売日: 1965/6/21
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
 戦後左翼系知識人の代表のようにカリカチュアライズされている著者だが、本書の最初は中ソ核武装を受けて分裂し、広島市民の抱える心情や問題から有害なまでに浮きまくる左翼系非核運動の告発から始まる。左翼勢力がダメダメな一方で、着実に実績を挙げていくのがキナ臭い保守系議員なのだが、その保守系勢力も露骨な忠米振りで、原爆投下の陣頭指揮を取った米国軍人に勲一等叙勲をしてしまう。

 被爆者達から乖離し利用するだけの「政治」に幻滅した著者は、現地の被爆者達、特に自らも被爆しつつも原爆症という未知の病気と闘う医師達の生の声に沈潜していく。沈潜した結果、どう行動するかということには至っていないという点で、本書はあくまで未完の「ノート」である。その点が気になるので星はひとつ削ったが、逆にどう行動するかというのは読者一人ひとりが自分の立ち位置で考えるべきことでもあるだろう。
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16 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
果てしない虚無主義が瀰漫する時代を生きる我々へ「人間の尊厳」とは何か、「ヒューマニズム」とは何かという根源的「問い」を提示する。

原水禁世界大会をめぐって渦巻く「政治」の力学、平和のシンボルへと巡礼を捧げる世界中の人々、そして「それでもなお自殺しない」こと、そして「悲惨な死にいたる闘い」をあえて選んだ被爆者たちが織り成す壮絶なルポタージュである。

「僕は、この二十世紀後半の地球の唯一の地、広島が赤裸々に体現している人間の思想を記憶し、記憶し続けたいと思う。広島は人類全体の最も鋭く露出した傷のようなものだ。そこに人間の恢復の希望と腐敗の危険との二つの目の露頭がある。」90頁

人間の「腐敗」、「退廃」へと向かい易い性向を誰よりも深く理解し、またそれがもたらす危機を誰よりも真剣に考え、それゆえにこそ人間の「尊厳」、「希望」を最も真摯に求め続けた作家である。

このような「ヒューマニズム」を苦悩に満ちた個人的葛藤を誠実に生きることを通して、ひたすらに追求し続ける一人の人間は、果たして「愚鈍」や「偽善」のような言葉で語られる存在であろうか。

「ヒロシマを生き延び続けているわれわれ日本人の名において、中国をふくむ、現在と将来の核兵器保有国すべてに、否定的シムボルとしての、広島を提示する態度」は「そのまま僕にとって、日本の新しいナショナリズムの積極的シムボルのイメージをあらわすものなのである」147頁

昨今の「愛国者」によって声高に叫ばれる「ナショナリズム」との異質さに唖然とさせられるものがある。

今日の知見から評して、この「ナショナリズム」の中に日本の「加害者」という意識の欠如は指摘されて然るべきであるが、これに関しては氏の近年の中国における積極的な活動に強烈な反省として現れているのだろう。

僕はこれを短絡的に「反日」「サヨク」の名の下にあげつらい、嘲笑する「愛国者」「ウヨク」を強烈に嫌悪する。

我々が長年「健忘」してきた「責任」を、老いてもなお身に背負おうとするその態度に彼の弛まぬ意志、そして思想が、他でもない「ニヒリズム」のこの世における、「ヒューマニズム」の可能性を愚鈍にも探求する「強さ」がある。
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4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By New JJ-K 72 トップ1000レビュアー
大江氏の広島は人類史上最悪の悲劇であり、アウシュビッツを越える人間的悲劇でありながら、しかも再びそのような悲劇の結果する危機がありながら、決して十分に知られているわけではないという言葉にハッとさせられました。自分もまた小学校の「にんげん」の授業で教わったピカドンなどの話・言葉を今や遠い記憶の一部に追いやっていたからです。

終戦後約20年の時を経て著者が広島を訪れる度に綴ったエッセイ集ですが、以下2点を含む多くの文章に心が打たれました。私の亡祖父は2年のシベリア抑留経験を持ちますが、決して戦争を忘れてはならない、日本は核保有国になってはならなず、例えそれが外交ゲームの弱みだとしても、真に大切なものを求める(=不可能の可能性を求める)国民でありたいと強く感じました。

・原子爆弾の放射能の影響によって死ぬべきものは既に死に絶え、もはやその残存放射能による生理的影響は認められない」という1945年秋の米軍側原爆災害調査団の誤った声明が世界に広がっていった

・フランス文学で頻繁に使われる言葉の同義語が日本文学では冷遇されているという偶然(威厳・屈辱あるいは恥)
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投稿日: 2005/10/16 投稿者: いじさま
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深い本である。私は、ノーベル賞受賞後の大江氏の発言には、多々批判したい点が有るし、「左翼」主導の「平和運動」や「反核運動」に無批判に共鳴する者でもない。だが、この... 続きを読む
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フィクションの達人が書いたノンフィクション:沈黙の重み
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人類の忘れてならない悲劇を重々しく綴る
... 続きを読む
投稿日: 2001/8/31 投稿者: tttabata
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