著者は、ヒロシマ・ナガサキ両方の原爆の直接被害に会うという稀有な経歴の持ち主である。
しかるに2010.12.17、英国BBCのお笑い番組のネタにされ、「世界で一番ついてない男」として紹介されると、こともあろうに観客席の満場の哄笑を買った。信じられないことである。それを受けて、在英日本大使館はBBC放送に厳重に抗議、一応の謝罪文を引き出した。
然るに、著者は2010.01.04胃がんのため93歳で没している。
本書を読んでみると、著者は窮乏のため高等教育こそ受けられなかったが、極めて進取の人であり、独学で英語、製図などを勉強、三菱造船長崎工場に勤務したが、たまたま人手不足の応援のため広島工場を訪問中に原爆の被害にあった。そこで、長崎工場に帰任、上司に広島の惨状を報告している最中に、またもや原爆の被害にあった。
著者は進取の気性に富むと共に、極めて明朗な人物で、戦後米軍通訳として活躍したが米国軍人を憎いと思ったことは一度もない。しかし、原爆の後遺症で妻と長男を亡くしている。
本書は著者の技術者としての成長、努力の記録である、と同時に経験した物でなければ書けない、広島・長崎の惨状について記録している。
かかる人物を笑いものにするとは、非白人たる日本人に原爆を始めてしようしたり、笑いものにしたりするアングロサクソンの驕りを感じると同時に彼らに対する怒りを禁じえない。