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ヒューマン  なぜヒトは人間になれたのか
 
 

ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか [単行本]

NHKスペシャル取材班
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商品の説明

内容紹介

私達ホモ・サピエンスの歴史は約20万年。最古の化石をもとに姿形を再現すると、現代人そっくりである。身体は何の進化もしていないように見える…。この間、私達は身体ではなく、「心」を進化させてきたのだ――。

内容(「BOOK」データベースより)

人類がホモ・サピエンスになってから約20万年。私たちの祖先は身体ばかりでなく、脳も進化させてきた。脳がつくりあげる心も当然、進化したと考えられる。本書はその壮大な歴史のなかに、心の進化を追いかけるものだ―。

登録情報

  • 単行本: 423ページ
  • 出版社: 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012/1/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4041101026
  • ISBN-13: 978-4041101025
  • 発売日: 2012/1/20
  • 商品の寸法: 19 x 12.4 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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人間性の起源を研究しているさまざまな科学者への取材を中心に構成されている。理論や仮説を詳細に記述するよりは、発言の引用が多め。そのため馴染んでいない人にも読みやすいのではないだろうか。取材先は科学者だけでなく米軍、ニューギニアやアフリカの狩猟採集民まで及ぶ。テレビジャーナリストでないとなかなかできなさそうだ。取り上げられているのは装飾、宗教、農業などの行動もあるが、それよりも利他性・親切さ・協力、その裏返しである罰・闘争など、すなわち文化的行動を生み出す基礎となる「社会性」の起源に重きが置かれている。

霊長類学者では松沢哲朗やランガム、ダンバー、古人類学ではクリス・ストリンガーや赤沢威、馬場悠男など、社会心理学ではアラ・ノレンザヤンやヨシュア・グリーン、経済学者のボールズ、理論生物学では辻先生や土畑博士、マーチン・ノーワックらで、まさにオールスターの感がある。

集団間の競争と協力のどちらが重要だったか、のように排他的でない二つの仮説を対立的に扱うとか、人間の場合フリーライド(ズル)をする原因は遺伝子ではなく心にあるとか(そのような心がどう遺伝的に進化したかを論じているのに)、論理的にいっておかしい部分も少しだけある。でも科学者が書いたものでももっと酷いものもあるし、全体的には非常に良くまとまっている。科学者が書いたものではガザニガ『人間らしさとはなにか?』が近いが、価格が倍以上違う。お買い得。
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By ib_pata VINE™ メンバー
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 1章の放送ではアフリカのサンの女性たちが、掘った芋をすぐにみんなで分けて食べ始めるシーンが印象に残っていたのですが、案内してもらっていたリー博士によると「かれらの社会でもっとも嫌われるのは、ケチと自慢です。生き残るためには分かち合うことがとても重要だったのだと思います。最悪なのは身勝手に村の正確の歩調を乱す人です」というのにはうなりました(p.34)。

 リー博士の言葉として「人間の乳児の最初の行動のひとつはモノを拾って口の中に入れることです。次の行動は拾ったものをほかの人にあげることです」というのもハッとさせられました(p.42)。乳幼児をお母さんやおばあちゃんがあやしていて、何かをあげると、それを赤ん坊がかえすみたいなことを延々とやっているを見たことがあると思うんですが、あれって、人間にとって本質的な行動だったのか…みたいな。

 チンパンジーの実験は相当興味深いものでしたが(ネタバレするので書きません)、京大霊長類研究所の山本真也教授の「もし、お皿に苺が山盛りになっていたとしましょう。2歳の子どもの口にお母さんが苺を入れる。喜んで子どもは食べます。すると、必ず子どもは苺を持って『お母さんにもあげる』ってやりますよ。これは人間の本質です」という言葉も深い。「志を持って他者に手を差し伸べ、その人を幸せに導く。すごい強い動機付けを人間は持っていて、それが人間の人間らしいところだと思います」というのが山本博士のキメの言葉。

 こうした協力関係が生まれたのは、人間が脳を大きくしたため難産になったたからだと説明される1章だけでもぜひ!
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思うに、我々は『心』を人にだけ与えられた『ギフト』と考えがちである。しかし、ヒトは『人として』<神>に作られたものではなく、他の総ての生き物と同じく40億年をかけて進化し続けた結果であるのと同様、心も始めから『心』として人類に備わっていたのではなく、進化によって手に入れたものであると思う。

そして、『HUMAN――なぜヒトは人間になれたか』というこの本に出会った。NHKが番組として取材したものの記録である。ホモサピエンスはアフリカで約20万年前にサルから枝分かれした。その時点ですでに身体的にはほぼ現代人と変わらぬ姿であったという。それではなぜそれから今までの間、人類は身体的に進化しなかったのか。その答えを「それは人類が『心』を発達していた為」と考えて、この取材班は調査を始める。

本は「協力する人」、「投げる人」、「耕す人」そして「交換する人」という章建てになっている。取材班はそれぞれの項目で、世界中のその種の研究をしている学者にインタビューを試み、人類がどのように徐々に『心』を手に入れ、その他の地球上の生物を押しのけて、最強の生物として繁栄していったかの道程を検証する。人類の進化の過程、あるいはなぜ他の生物には見られない発達過程を経たかという調査や学説は多々ある。しかし、この調査はそれを『心』と結びつけたところに新味を感じる。

また、『心』を論じると、追々哲学的方向に傾いていくが、この本は科学的スタンスを保ち続け、かつとても分かりやすい。と言って単純にはならず、各章で「なるほど!」と言った感想を持ち得る。例えば、第一章「協力する人」では、狩猟採集時代にはヒトがお互いの獲物を分けあって、共に協力しながら家族・部族全体としての発展を成し遂げていくと述べられている。しかし、一方、対立が「殺し合い」にまで発展していくのは、ヒトだけの特徴であると。一見矛盾するようなこの行為が、実はお互い裏腹の関係にあるという説明は、とても納得のいくものであった。もうひとつ、第4章「交換する人」で述べられるギリシャ、アテナイでの世界通貨と言うべきコインの発現が、『アンティゴネ』などのギリシャ悲劇を産み出したという指摘はとても興味深い。

『心』とはなんぞやと構えることなく、全体として、とても分かりやすく、読みやすく、興味どころ満載といった感想である。
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