恋愛を求めれば求めるほど、絶望に次ぐ絶望を味わい、ついにはやけを起こしてヘルニアをやって
しまった安藤さん。後輩の岡田君は彼女の阿部さんと少しずつステップアップしているにもかかわ
らず、彼はナメクジのようにじめじめした底の方を這っているのだ。一方その頃森田は、ついに長年
我慢し続けてきたその欲望のタガを外して…。
森田の殺戮パートは、ついてに本格的に展開し始める。「虫も殺さぬような」という形容がまさに当
てはまりそうなか細い彼だが、その中身は人の命も虫けらのそれのようにしか思わない、いや思え
ない殺戮者だった。だが、彼がたちの悪いのは、それがはっきりと目的と化してるからだ。手段とし
ての殺しではなく、目的としての殺し。実際にこんな変質者がいるのかわからないが、人殺しをひた
すらに渇望しながら放浪する彼のパートは、全く共感できない彼のモノローグで進む不思議な味わい
を残す。
一方の安藤である安藤。前巻まではゾッコンだった女の子が後輩に一目ぼれされるは、ブスをだま
してやろうと近寄り逆に好きになってしまい、さらにつきあう直前までいってフラるという失態をおこす
など、踏んだり蹴ったりだった彼だが、この巻でついに春の気配が…。ヘルニアの治療で訪れたス
ポーツジムのインストラクター織田さんと、なんかいい感じになりそうではないか。だが、男安藤はそ
のときすでに生き方を変えていたのだ。こんなにつらいなら、もう恋なんてしない。恋をするからつらい
のだと確信した安藤は、「恋の無菌室」を自らあつらえ、そのなかで一生を過ごそうと決めたのだった
が…。