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その究極こそが自己の破壊であり、事実、彼の最後の命令はまさに自己の遺体の焼却処分だった。それは完璧なまでに実行され、ヒトラーの遺体捜索にあたったソ連軍も、数個の歯以外、ほとんど何の痕跡も発見することができなかった。
ならば、己の肉体のほぼ完全なる破壊を達成したヒトラーには、敗北の中にあってすら、一種の達成感があったのではなかろうか(多少宗教的な見方ではあるが)。ヒトラーは失意の内に自殺したというものの見方に慣れた者には、本書の内容から必然的に出てくるであろうこの論理的帰結に慄然とせざるをえない。この、ニヒリズムとシニシズムの融合の前にあっては、彼の犠牲になった者は救われないどころか、発する言葉すらなかろう。
また、本書には、最終局面に見られたベルリン戦における唖然とするような状況も描かれている。赤軍兵士による老若を問わない強姦、ドイツ側防御線内部での集団飲酒、そして極めつけが性的放縦、つまり「耐え難い死体の腐敗臭の中で、あちこちで酔っぱらった軍服の兵士が、同じく酔っぱらった女たちとぴったりと絡み合って横たわっていた」。リアルな破壊の中にエクスタシーを感じる人間は、実はヒトラーだけではないのではないか・・・・。
いずれにせよ、分析手法の是非論を超えて、本書も「人間とは何か」を深く問う一冊であることに間違いなかろう。
この本はご承知の通り映画版に合わせて訳されたものです。
それで時間がなったようですが、
訳者も後書きで認めているように明らかに、
軍事分野に関する訳が曖昧になっている。全体的な訳も所々
単語を羅列したような訳になっていて、全く文章がバラバラになっ
ているところがある。さらに、残念なことに前書きのところの訳がここぞという
ところでしっくり来ない。例えばカタストロフィーに関する
概念のところである。
さらにいえば地図ももう少し状況を多角的に見られる複数の地図が
ほしいところだ。原書をドイツ語ができるのなら読んだ方が
良いと思う。
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