第二次世界大戦における幾つかの転機において、史実とは異なる判断が下されていたらどうなっていたかを探ろうという書籍です。米英の軍関係者等の専門家により60のテーマについて検証されています。
邦題は「ヒトラーが勝利する世界」となっていますが、太平洋戦線についても扱っていますし、そもそも最初のテーマが「1938年9月に反ヒトラー・クーデターが起こっていたら」となっており、実際の内容とは合致しないひどい邦題です。どちらかというとあり得た範囲での選択肢の違いによる歴史の if を検証しており、紹介文の「決定的な瞬間」云々の煽り文句が想像させるような内容とは方向性が異なる書籍なのではないかと感じました。仮想戦記的な要素はほとんどありません。1939年からジェット戦闘機の開発が進む可能性など、空想に近い if は本書の範疇外です。
検証の内容については説得力があるとは余り感じられませんでしたが、「米英ではこんな風に捉えているんだな」ということが分かる読み物として興味深い点もあります。
ただ明らかに誤訳なのではないかと思われる文章の意味が通らない箇所があるのは気になります。また原文の問題なのか訳文の問題なのか分かりませんが、史実についての記述なのか if についての記述なのか区切りが非常に分かりにくく、混乱を招くと感じました。そのため、ある程度史実を把握していないと全く読み取れないのではないかと思われる文章もあります。
邦題や紹介文の内容で判断すると本書の方向性を見誤ると思います。