三木の本を読むことは 本書で二回目である。
吉本隆明から 三木成夫を知る機会を得たことは 本当に幸せであった。大学受験の際に生物を勉強していて 人体がいかによく出来ているかに感動した記憶があるが 25年を経て 当時の感動がよみがえってくる思いである。
これは賭けてもよいが たとえば物流会社は 人体の血液や体液の流れを勉強することで 非常に大きなヒントを得るはずだ。実際 血液が担っている役割は酸素や栄養素を運ぶ「物流」に大きいものがある。しかも 数十万年という年月の中で 洗練され ある意味で「考え抜かれた」ケーススタディーであると断言できる。神が人間を作ったという グランドデザイン説が生まれるのも無理がないと思うくらい 人体はよく出来ている。
人間は 自分が動物であることを忘れている面がある。しかし やはりどうしょうもなく動物であることに規定されている点も確かだ。三木の著作を読んで見えてくるものは 人間自身であり つまり自分自身である。
本書がまとう ほのかな文学性が 本書を 比類なき香り高い一冊にしていることを最後に付け加えたい。本書で 其角という 俳人に親しむきっかけを得た。