ヒップホップの絶賛本にとどまるものではなく、また、単なるヒップホップのアーティスト、曲紹介本ではなく、
この本を読むと、ヒップホップを聞いて育った世代が大人となり、今まさにアメリカ社会の政治行動、社会文化を変えるまでの影響力を持ち始めていることが、理解できる内容である。
著者は、アメリカの黒人カルチャーに通じている大学社会文化学の教授であるが、
とかく、ありがちな学者独特の難解な文章になりがちなところが、この本はとても読みやすく、それはきっと、翻訳者の翻訳が平易であることも大きいのだと思う。
今まさに、黒人初の大統領が生まれようとしているこのとき、こぞってヒップアップアーティストを初めてとして、人種・世代を超えて、自主的に多くのアーティストが、希望、変革に同調して、支持の大きな波となり得たことも、ストリートの片隅から生まれたヒップホップの持つ可能性を知る上でも、この本は、やはり入門書の域を超えても読み手の知性をくすぐる内容であると思う。