ヒット商品のケース分析はとても興味深いし、的確であると思います。商品を開発する際、商品の合理的・機能的な部分に意識が行き過ぎ、本当は商品の購買に強い影響を与えている非合理で情緒的な部分を軽視してきたという指摘も全くその通りであると思います。
ケース分析の数も多く示されており、指摘の妥当性を納得させてくれます。
「ホンネをどうやったら引き出せるリサーチができるのか」はマーケター、リサーチャーの大きな課題ですが、実際にはうまくできない辛さがありますから、それが実現できたら本当に素晴らしいだろう!と思うわけです。
しかし、本書が人の「ホンネ」をつかむ技術をどれだけ語っていてくれているかは残念ながら疑問です。
ホンネに迫る方法論を「心のレントゲン」と名付けていますが、殆どそれについて説明が加えられていません。「心のレントゲン」の仕組みを説明している部分がわずかにありますが、次のような説明です。
STEP1「ホンネ」をすくいとる
STEP2「ホンネ」をつかむ
STEP3「ホンネ」でたばねる
「心のレントゲン」は「ホンネ」をつかむ技術であると言っておきながら、このステップでは「ホンネをつかむためにホンネを操作する」という同義反復になってしまっています。
これでは、タイトルを見て「ホンネ」をつかむ技術とはどのようなものなのかを知りたいと読んだ人には「空振り」ということになるでしょう(私はその一人です)。
ですから、視点とケース分析は素晴らしいが、タイトルから期待される方法論の説明があまりに乏しく、総合的に高い評価はできないとするのが妥当だと考えます。