膨大な映像記録の中からエッセンスを抽出して2時間のドキュメンタリーにまとめられたもので、全編がハイライトと言える作品です。中でもエディーが、カート・コバーンと抱き合って踊るシーンや、クリス・コーネルが盟友バンドについて熱く語るシーンなどは、この時代のロックファンなら涙ものでしょう!
とにかく全編がみどころなのですが、本作を通じて強く感じるのは、パールジャムというバンドは、作品中もキーワード的に出てくる言葉ですが、“地に足のついた”バンドだということです。
彼らは、有名ロックバンドにありがちなメンバー同士の不仲や大きなスキャンダルといった“派手な”話題はほとんどありません。本作に記録されているのは、様々な困難を、その都度立ち止まって考え、苦悩の末ながらも自分たちなりの解答をしっかり出してから前に進んでいくという、ある意味で地味なものです。しかし、そのプロセスが、どこまでも誠実で人間臭いものなのです。この点が、美しく、心打たれるものなのだと思います。
例えば、ライブ中にファンが圧死したロスギルデ・フェスの事件について「一時はバンドの存続も危ぶまれたが、亡くなったファンのために何(What)ができるかを考えていこうと思うようになった」というエピソードや、カート・コバーンのパールジャム批判のコメントについても「あれがあったから俺たちは道を踏み外さずにすんだ」と分析するなどです。
パール・ジャムの最大の魅力は、このように、困難から逃げずに正面から向き合い、もがきながらも前に進んでいく、その姿だと思います。これはまさに、必死で世の中を生きていこうともがく不器用な我々「庶民」の姿そのものではないでしょうか。だからこそ、ファンは年齢を重ねてもバンドについていこうと思えます。若いときにだけかっこいいと思えるバンドでは、決してないのです。こういうバンドって本当に希少なのではないでしょうか。本作からそれがすごくよく分かります。
僕は、これを見終わって、自分は一生このバンドのファンでい続けることを確信しました。