「『蜘蛛の紋様』が始まったら、『パーム』は終わる」・・・この帯の一行に胸を衝かれたファンは多いはず。ああ。物語の行く末は見届けたい、でも終わって欲しくない、この長い長い物語に魅せられた人間の持つディレンマである。
さて、扉の虚ろなまなざしの青年は若き日のカーター、そして彼とジェームズが出会う前、それぞれの幼少期からのエピソードが語られるのがこの巻である。細かい点はさておき、彼らがどのような幼少期を過ごしてきたかは今までの巻でおおよそは語られているのでひとつひとつのエピソードに目新しさはないが、巻頭の小説風の(って小説か)書き出しにはちょっと度肝を抜かれた。これ、雑誌発表時もこの形態だったのかなあ?これを読むと、いかに作者が、作中人物の一人ひとりを良く「知って」いるかがわかる。が、絵でのイメージが与えられないために、また名前とエピソードのみで人物の肉付けがやや物足りないため、若干読むのが苦痛だった。もちょっとはしょってもいいからこの部分もマンガにして欲しかったなあ。ってわけで星4つ。それにしても、ジョイの運命には胸が痛む。「(俺は)全てを奪い去る。嘘ではない」と言ったジェームズの言葉は真実なようである。