前作「小説家の作り方」でAIが自我を持ち、新時代の創作に挑む姿を描いた野崎作品ですが
ある意味、今回の作品は過去の野崎作品を読むとメタな構造が明らかになって
過去作のヒロインが本当に次世代を育成するという、捉えようによってはAIの独自な発達以上に
不気味な捉え方が出来てしまう作品です
ぶっちゃけこれ単品でもそれなりには読めます
今作だけを読むと柳沢教授の様なずば抜けた頭脳とズレた感性の持ち主が「友だち」の定義を探ったり
友だちを作る為の「方程式」を作るものの上手くいかず、失って初めて分かる友だちのありがたみを通じて
ようやく「友だちの意味」に辿り着くという「良い話」なんです。雰囲気もファンタジーです
でも、そこは野崎作品、単純に良い話、読後感が良いだけの話なんて書くわけが無いんですね
これまでヒロインをいくつかのパターンに分けて書いてきた野崎まどですが、今回の天才小学生は
「人に突っ込みを入れざるを得なくさせるすっとぼけ」が特徴です。過去作にいましたね、そういうヒロイン
ヒロインが自分が何を仕掛けられたか、誰に仕掛けられたかを自問し続けるラストへの展開の中で、最後の最後に登場するある人物のお陰で
過去作を読んだ読者には単品では見えない「仕掛けられた」別の形が見えてしまう、単品だけなら素直に受け止めたであろう自分の感銘も
「また野崎作品のヒロインンにどんでん返しを食らったか」と疑ってしまう創作の手法としてはある意味反則的などんでん返しとなっております
これは究極のメタだなあ…