ついにハーフを含めたオリンポスの神々とタイタン族との戦いが始まりました。タイタン族の力は予想以上に強く、オリンポスの神々は苦戦をしいられます。戦いの舞台はニューヨーク。敵も味方も今までの巻に登場してきた人すべてが参戦しての大戦争となりました。
タイタン族はかつてないほどの強敵で、味方は次々と倒れていきます。タレイア率いるハンター隊やケイロン率いるケンタウロスパーティー同好会の支部の面々など味方は増えるのですが、パーシーたちは後退を余儀なくされ、状況はますます悪くなるばかりでした。
この巻ですべてのオリンポスの神々が登場することになります。今回初登場の炉の女神ヘスティアですが、彼女の言動はギリシア神話でのヘスティアを説明したかのような描き方をされています。控えめで前に出ることを好まない女神ヘスティアの性格がよく伝わってきました。
そして実にすばらしいのはトロイア戦争の一場面を描き出したことではないでしょうか。叙事詩『イリアス』でアキレウスは口論の後、戦線を離脱しました。英雄アキレウスの不在によって悪くなった戦況を心配した彼の親友はアキレウスの甲冑を身にまとい戦場に出ました。アキレウス本人が登場したと思い込んだ敵軍はひるみ、逆に味方は敵軍になだれ込みギリシア軍が優勢になりました。しかし親友といえども実力はアキレウスほどではなく、彼は敵にやられてしまったのです。
パーシーの目の前でこの場面が再現された時、その感動はホメロスをも上回っているように感じました。
このシリーズは表面上は子ども向きですが、物語の基盤となっているギリシア神話を理解するには高校生以上の知識が必要でしょう。つまり子どもから大人まで楽しめるのです。感動と悲しみ、畏怖と絶望、最後の最後までハラハラさせられますが、同時に心より満足させてくれるシリーズでした。